格下の格下
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トランプ大統領の突然の同席があった第1回日米貿易交渉。為替問題は後日の日米財務相会談に持ち越されたが、ドル円相場の大幅調整の可能性は高まっている。シカゴIMMのポジションが示す投資家心理と今後の見通しを解説。
2025年4月21日号
注目された17日に開催された赤沢経済再生相とベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表との第1回日米貿易交渉では突然トランプ大統領が同席すると言うハプニングが有ったものの、為替の話は出ず、会談後にはベッセント財務長官が「日本との協議は極めて満足のいく方向に動いている。」と述べ、赤沢経済再生相は、「自分はトランプ大統領にとって格下も格下ですので、出てきて直接話をしてくださったことには本当に感謝している。」と述べて謝意を示し、我が国政府関係者は「想定外の事が起きず、無事に終わった」と胸を撫でおろした。
石破首相は、「トランプ大統領が出て来るなら、俺が行くんだった。」と手柄を逃したことを嘆いたが、相手を揺さぶって主導権を取り、成果を急ぐ『Tariff man』トランプにとっては、まあ格下だろうが格上だろうが、結果は変わり映えしない物であっただろう。
結局為替問題は、24日に予定されている加藤財務相とベッセント財務長官との日米財務相会談に於いて協議される事となったが、筆者の日米間の大幅な為替調整の可能性についての考えは変わらない。
『Tariff man』トランプは、露骨に「アメリカ車をもっと買え。貿易赤字を解消しろ。在日米軍駐留経費負担を増やせ。」と要求したが、これらはそう簡単に出来る事ではないし、最も手っ取り早いのは先週のレポートで述べた様に、日米双方にとってメリットが有る円相場の為替調整である。
先週、第1回日米貿易交渉直後の記者会見で赤沢経済再生相が、「為替の話は出なかった。」と述べた直後にドル円相場は安値141.61から143.08迄急上昇したが、直ぐに142円割れまで戻してドルの頭の重さを痛感させられた。
Price action(値動き)を見ていると、執拗に『ドルが少し上がるとドンと売りが出る』感じで、何となくAI.やアルゴリズムなどを駆使した機械的な売り手法を感じたが、これはヘッジ・ファンド等が得意とするやり方である。
相変わらず彼らは、兎に角『ドル円の下げ』に相当な自信を持っている様な気がしてならない。
週末発表されたシカゴ・IMM.のポジションを見て、再び驚いた。
前週から5円近くドル安&円高が進んでいるにも拘らず、ポジションを減らすどころか26億ドルもドル売り&円買いを進めて、4月15日付けで何と150億ドルの売り持ちポジションを保持している。

為替のポジションを持った人にしか理解出来ないだろうが、大きく利が乗ったポジションを持っていて、相場が更に有利な方向に動いた時にポジションを増やすと言うのは、余程の自信が無ければ中々出来る事ではない。
普通は、利が乗ったことを喜んで利食ってしまうのだ。
恐ろしい程の順張り(相場が動いた方向と同じポジションを取る。例えば相場が下がれば流れに乗って売り向かう。)精神である。
それと対照的なのが我が国の個人投資家動向で、相変わらず毎週の様に下がる相場に対して少額(1億ドル)ではあるが、どんどん買い向かってドルの買い持ちを増やしているのだ。
普通は、此処迄相場が逆の動きをすると損切りをするものなのだが..
こちらは恐ろしい程の逆張り(相場が動いた方向とは逆のポジションを取る。例えば相場が下がれば流れに逆らって買い向かう。)精神である。

個人投資家残高
前週 | 4月14日付け | 比較 |
+12億ドル | +13億ドル | +1億ドル |
@146.88 | @143.56 | -2.96 |
シカゴ・IMM
前週 | 4月15日付け | 比較 |
-124億ドル | -150億ドル | -26億ドル |
@147.82 | @143.05 | -4.77 |
先週はイースターを控えて小動きの中、債券安(金利高)、株安、そしてドル安の動きとなったが、今週もその流れが続きそうである。
アメリカでのスタグフレーションの可能性が高まる中、『Tariff man』トランプがパウエルFRB.議長に対して早期の利下げや退任を迫っている。
大体、国のトップが中央銀行の人事や政策に対して干渉を始めるとその国の経済は駄目になる例が多い。
アメリカもそうなるか?
中国のみならず、トランプ政権に対して不信感を募らせる国や共同体からの、『ドル資産からの脱却』が進めば、放っておいてもドルは下がるであろう。
依然として、ドル円相場の1ドル=120円の予想は荒唐無稽でないと考えている。
今週のテクニカル分析の見立ては、更なるドルの下落を予想。
今週のレンジ
今週のレンジはドル円が139.00~143.00でユーロ円が158.00~163.00。
ドル円:139.00~143.00
ユーロ円:158.00~163.00



酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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