酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 

酒匂隆雄の為替ランドスケープ 2025年03月03日号

2025/03/03

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かねてよりご要望がありましたので、「為替ランドスケープ」は週刊更新させていただくこととなりました。引き続き、何卒よろしくお願いいたします。

米国の消費者信頼感指数が低下し景気減速懸念が広がる中、ドル・円ともに買われる「リスク・オフ」相場を形成。シカゴIMMでは円買いポジションが過去最大規模に達する一方、日本の個人投資家はドル買いを増加させるという対照的な動きが継続している。

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ドル高&円高

先週のドル円相場は、前週発表になった2月の米国購買担当者景気指数(PMI)の速報値が1年5カ月ぶりの低さを示し、又ミシガン大学が発表した消費者態度指数の確報値も市場予想を下回って2023年11月以来の低水準となって米長期金利が下落傾向にある中、米調査会社コンファレンス・ボードが25日発表した2月の米消費者信頼感指数が3カ月連続で悪化し、2024年6月以来8カ月ぶりの低水準となった事を受けて、米国景気減速懸念が台頭して連日158円台のブレークを試みたが、何れも失敗して週末には高値150.99迄値を戻した後、150.57で週を終えた。

消費者信頼感指数は米個人消費の先行指標とされ、トランプ関税によるインフレ懸念台頭と共に一時は「米国はスタグフレーション=(不況にも拘らず、物価が上昇する)に陥るのではないか?」との思惑が広がって、米長期金利は下げたものの、ドルは下げ渋っている。

いや、寧ろドルは主要通貨に対して週の終値ベースでは上昇しているのだ。

2月21日2月28日変化
米10年債利回り4.431%4.202%-0.229%
ドル円149.33150.57+0.8%
ユーロドル1.04591.0375-0.8%
ポンドドル1.26291.2578-0.4%
豪ドルドル0.63560.6207-2.3%

上の表は2月21日と2月28日のニューヨーク市場の終値を示しているが、米10年債利回りが0.229%下落しているのにも拘らず、ドルは対円、対ユーロ、対ポンド、そして対豪ドルで上昇しているのだ。

この理由を説明するのは難しいが、現状のトランプ関税やウクライナ情勢を巡る不確実性の高まりに対して、市場がリスク・オフ・モード(新たなリスクを取らず、既存のリスクを軽減する動きを取る)となり、安全資産としてドルと円を買っているのではなかろうか?

当然その結果としてドル高=その他通貨安と、円高=クロス円安となり、ドル円相場はドル高が勝って150円を超えることとなった。

トランプ大統領は3月4日からカナダとメキシコに対して25%、中国に対しても10%の追加関税を課すことを決めたが、今暫くトランプ政策を巡る報道に翻弄される状況が続きそうである。

この週末も、仮想通貨を戦略準備金とする様に前進することを指示したと述べて、ビットコインは先週末の凡そ1300万円から1400万円まで8%弱も急騰したが、中々付いていけない。

気味が悪いのは、トランプ大統領が未だ為替相場に関しては就任以来、一言も発していない事である。

かつて、「円が過少評価されており、日本が輸出競争力を高める為に円安政策を取っている。」と公然と円安批判を行った事は記憶に新しい。

大統領就任以来沈黙を保っているが油断は出来ない。

先週のレポートの続きになるが、何かを知ってか知らずか、シカゴ・IMM.の投機筋のドル売り&円買いの勢いが止まらない。

先週2月25日付けで前週から円のロング・ポジション(ドルのショート・ポジション)を凡そ30億ドル分増やして約80億ドルのショート・ポジションを保持している。

これは、過去最大規模の円・ロング=ドル・ショートのポジションとなる。

ここまで来ると、よっぽど彼らはドルに対して弱気に傾いているか、或いは何かドル安&円高になる強い確信を持っているのかと勘ぐってしまう。

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シカゴ通貨先物(円)投機筋のポジション

それに対して相変わらず好対照なのが、我が国個人投資家の投資行動である。

彼らはシカゴ・IMMとは逆に前週から3億ドル買い持ちを増やして、2月24日付けで13億ドルのロング・ポジションを保持している。

纏めると、個人投資家はドル円相場が151.50から149.73迄下落したので、得意の逆張り(相場が下落すると、トレンドに逆らって買い向かう)でドルを買い増し、逆にシカゴ・IMMはドル円相場が152.07から149.01迄下落したので、得意の順張り(相場が下落するとトレンドに従って売り向かう)でドルを売り増したことになる。

個人投資家残高

2月24日付け前週変化
+13億ドル+10億ドル+3億ドル
@149.73@151.50-1.77円

シカゴ・IMM

2月25日付け前週変化
+95,980枚+60,569枚+35,411枚
-80億ドル(上記ドル換算)-50億ドル(上記ドル換算)-30億ドル(上記ドル換算)
@149.01@152.07-3.06円

先週これらのデータ入手後、ドル円相場は150.99の高値まで戻し、月曜日午後の段階で150円台ミドルのレベルで取引されている。

先週のドル円相場は、月曜日から木曜日まで連日安値となる148.84、148.57、148.63、148.75と148円台を攻め続けたが、結局週末は150.57で引けて148円台の底堅さを示した。

筆者には想定外の動きとなったが、リスク・オフでドルと円共に買われる状況では、当面は148.00~152.00のレンジを想定しておくべきであろうか?

但し、筆者は相変わらず常に突然のドル安&円高の動きに最大の注意を払って行く積りである。

今週は注目の2月米国雇用統計が発表され、市場は失業率は4%で変わらず、非農業部門雇用者数は先月の+14万3千人から+15万8千人と予想するが、異端児イーロン・マスクが主導する米政府効率化省(DOGE)による人員削減の影響も懸念される。

弱い結果となればドル円相場は再び下落に転じ、逆に強い結果となってドルが上昇すればドルを売る良いチャンスとなるのではなかろうか?

今週のテクニカル分析の見立ては引き続き、下サイドへのブレークに注意。

今週のレンジはドル円が148.00~152.00ユーロ・円が154.00~158.00

酒匂隆雄

酒匂隆雄 (さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。


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