酒匂隆雄の為替ランドスケープ 2025年1月号
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国内の金融市場専門家72名の予想を分析します。2025年のドル円相場は春先に向けて円安が進み、その後年末にかけて円高トレンドに転じる見通しが大勢を占めたようです。
賢人たちの予想
日経ヴェリタスと言う毎日曜日発行の金融専門誌が有り、筆者は永年愛読している。
この日経ヴェリタスが、毎年初に国内機関投資家や証券会社、為替、債券担当者や投資戦略を担当するストラタジストらを対象にしたアンケートを行っている。
今年は72名の賢人たち(皮肉ではない。)からのアンケート結果を受け、その内の“ドル円相場”の部分だけを集計して、賢人たちの予想を見てみたい。
尚、この内4名は為替相場予想を“専門分野外。”として空欄としており、68名の投票を有効とした。
先ずは2025年、ドル円相場が最も円高になる月は圧倒的に12月を予想する人が多く、意外にも次に3月が続き、9月と10月が3位を分け合った。
次に最も円安になる月は圧倒的に1月を予想する人が多く、次いで2月と3月が続く。
1月、2月、3月の第一四半期に円安のピークを付けると答えた人の合計は46人にも上り、全体の67.6%にも達する。
纏めると、“今年も”ドル円相場は年初に円安を付けた後、年末に向けて円高となると考える人が多いと言える。
円安時期 | 順位 | 月 | 順位 | 円高時期 |
---|---|---|---|---|
21人 | 1位 | 1月 | 2人 | |
13人 | 2位 | 2月 | 3人 | |
12人 | 3位 | 3月 | 2位 | 9人 |
3人 | 4月 | 0人 | ||
1人 | 5月 | 1人 | ||
2人 | 6月 | 1人 | ||
4人 | 7月 | 2人 | ||
0人 | 8月 | 4人 | ||
1人 | 9月 | 3位 | 7人 | |
1人 | 10月 | 3位 | 7人 | |
3人 | 11月 | 2人 | ||
7人 | 12月 | 1位 | 30人 | |
68人 | 合計 | 68人 |
次に、円高・円安となるとしたら何処まで行くかと言う問いに対しては、以下の結果となった。
5円刻みで集計したので、126~128の答えは125~129に属し、166~168の答えは165~169に属する。
因みに最も円高を予想した人は125で、最も円安を予想した人は170であった。
纏めると、大方(約半数)は140~164のレンジを予想しており、これは2024年のドル円相場の安値139.59、高値161.94と極めて類似しており、上の円高・円安のピークのタイミングと合わせると、多くの賢人たちは“2025年は春先まではドル高&円安傾向が続くが、行ってもせいぜい164止まりで、その後ドル安&円高に転じて年末に向けて140を目指す。”と言うものであろうか?
円安 | 順位 | 価格 | 順位 | 円高 |
---|---|---|---|---|
125~129 | 2人 | |||
130~134 | 6人 | |||
135~139 | 2位 | 14人 | ||
140~144 | 1位 | 33人 | ||
1人 | 145~149 | 3位 | 11人 | |
3人 | 150~154 | 2人 | ||
17人 | 2位 | 155~159 | ||
32人 | 1位 | 160~164 | ||
13人 | 3位 | 165~169 | ||
2人 | 170~174 | |||
68人 | 合計 | 68人 |
2025年のドル円相場の行方を左右する大きな要因としては、日米金融政策の行方、トランプ次期大統領の政策が挙げられるが、前者に関しては日銀が利上げに慎重になる中、FRBの利下げ見通しは後退しており、日米金利差縮小のペースは自ずからスローダウンする見通しで、昨年初に見られた様な日米金利差縮小に基づいたドル安&円高を期待する意見は多くはない。
2024年は日本が0.35%の利上げをし、米国が1%の利下げを行って合計1.35%の金利差縮小が有ったものの、ドル円相場は凡そ20円近くもドル高&円安が進んだ事も、ドルベア派(ドルにとって弱気を抱く派。)の勢いをそぐ。
後者に関してはトランプ氏が掲げる減税、関税強化、移民排斥政策は何れもインフレ要因となり、長期金利上昇を招き易い。
此方も同じくドルベア派の勢いをそぐ。
ファンダメンタルズ(経済的基礎要因)の観点からはドル高&円安の議論がし易いが、注意すべきは円安進行阻止に対しての政治的な圧力が起きるリスクである。
160円を超える様な状況になれば我が国の財務省によるドル売り&円買い介入の可能性が高まるであろうし、かねてから人民元安と共に不満を表明していた円安に対してトランプ次期大統領が円安阻止の行動を起こす事も考えられる。
ファンダメンタルズと言う現実に基づいたドル買いに対して、“What if ?”=(もし、何か起きたら?)、例えば”もし介入が出たら?“、とか、”もし、トランプ大統領が円安阻止の方策を打ち出したら?“と言う仮定の話でドル買いを逡巡するとか、ドル売りに走ると言うのは甚だ難しいが、相場は大多数が考える方向とは違う方へ動くことはままある事。
筆者の個人的意見としては春先まではドルの堅調地合いは続き、その後はじりじりとドル安&円高が進行して日経ヴェリタスのアンケート結果と同じ様に年末辺りにはドルが安値圏内に在ると見る。
注意すべきはトランプ大統領の突然の政策変更と円安阻止策発動であろうか?
今年も一筋縄では行かない相場展開となると思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。
酒匂隆雄 (さこう・たかお)
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
公式ブログ:酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」
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