鈴木雅光の「奔放自在」

NISAで問われる運用の継続性

2024/07/03

投資信託の信託期間は延長が可能で、無期限が理想ですが、償還リスクもあります。特にNISAの非課税枠無期限化で運用の継続性が重要です。詳しくは、この記事で対策を解説します。

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信託期間が満了すると、そのファンドは保有している資産をすべて売却して現金化し、受益者が保有している受益権口数に応じて、償還金として分配されます。この時点で、そのファンドの運用は終了になります。 

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ただ、投資信託の信託期間は結構、適当といっては失礼ですが、定期預金の満期や債券の償還日のように、その日が到来した時点で絶対に満期、償還されるという拘束性の強いものではなく、信託約款という、投資信託会社と受益者の間で交わされる取り決めを変更することによって、さらに信託期間を延長することができます。こうして10年、20年と運用を継続しているファンドが結構あります。 

もうひとつ、投資信託の信託期間には「無期限」というのがあります。無期限ですから、10年、15年といった信託期間が設けられておらず、状況によっては文字通り、無期限に運用し続けてくれるわけです。 

基本的に投資信託での運用は、長期が基本になりますから、信託期間は無期限が理想です。仮に信託期間が設けられているファンドで、信託期間の延長措置があるとしても、本当に信託期間を延長してくれるかどうかは、あくまでも運用会社の判断次第なので、受益者が「信託期間を延長して欲しい」などと声を上げたとしても、運用会社が償還すると決めれば、償還されてしまいます。 

したがって、投資信託を購入する時は、まず信託期間が無期限になっているものを選ぶのが無難です。 

しかし、信託期間が無期限だからといって安心はできません。特定の条件下においては、信託期間が無期限のファンドであったとしても、償還されてしまうケースがあるのです。 

これが実に厄介です。特に、今年1月からNISAの制度改正が行われたことによって、NISAの非課税枠が1800万円に引き上げられるのと同時に、非課税期間が無期限化、制度が恒久化されました。これによって、投資信託の積立などによって資産形成を行おうと考えている個人も増えています。 

つみたてNISAの年間投資枠は120万円です。月額10万円で、1800万円の生涯非課税枠を満たそうとしたら、15年間かかります。この間、特定のファンドで積立投資を続けていく場合、表題にもあるように「運用の継続性」が重要になってきます。 

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たとえば10年をかけて、あるファンドで1200万円を積み立てたとします。ところが、このファンドが突然、償還されてしまいました。すると手元には、1200万円の投資元本に損益を加味した償還金が戻ってきます。仮に、その金額が1500万円になっていたとしましょう。この場合、投資元本と償還金の差額である300万円には課税されません。 

それは良いのですが、問題は手元に1500万円ものキャッシュが滞留してしまうことです。 

キャッシュのまま持っていても、運用益は一切発生しません。出来れば運用に回したいところです。NISAは制度改正によって、解約などによって現金化したとしても、制度が恒久化されているため、再びその枠を活用して投資し続けることが出来ます。 

しかし、ここで問題が生じてきます。 

手元に1500万円のキャッシュがあれば、出来ることならそれを一括してNISA口座に入金し、特定のファンドで運用したいと誰もが考えるでしょう。 

ところが、NISAは毎年の投資額に上限が設けられています。前述したつみたて投資枠の場合だと、年間120万円までしか投資できません。ということは、手元にある1500万円のキャッシュから毎年120万円を取り崩して、つみたて投資枠で運用することになります。 

1500万円から毎年120万円ずつをつみたて投資枠で投資すると、1500万円を全額NISA口座で運用し切れるようになるまでには12年半もの期間を必要とします。結果、最初に10年をかけて積み立てたのに加え、さらに12年半もかけて積み立てし直さなければなりませんから、合計で22年半をかけても、積み立てた額は1500万円にしかなりません。 

この期間を出来るだけ短期化するためには、成長投資枠の併用を検討するしかないでしょう。成長投資枠なら、年間240万円まで投資できます。つみたて投資枠と合わせれば年間360万円ですから、1500万円のキャッシュを4年とちょっとの期間で全額、NISA運用に回せます。

ただし、成長投資枠で買える投資信託とつみたて投資枠で買える投資信託が共通とは限らないので、場合によっては別々のファンドで運用しなければならないケースも想定されます。 

いずれにしても、NISAで運用している投資信託が繰上償還されると、こうした手間が発生してきます。その点でも、投資信託の運用の継続性は重要ですし、繰上償還されないファンドを選ぶ必要があるのです。 

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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