鈴木雅光の「奔放自在」

流行りの限定追加型投資信託は買わない方がいい

2023/05/26

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ここ2年ほど、「限定追加型投資信託」の新規設定が増えてきています。では、限定追加型投資信託とは、どういう商品性なのでしょうか。それを理解するためには、「追加型投資信託」が何かを理解する必要があります。

追加型投資信託とは、募集期間を経て運用がスタートした後も、自由に追加購入できるタイプの投資信託です。

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これに対して「限定追加型」とは、この追加設定できる期間が限定されているという意味です。たとえば、設定されてから2週間程度は追加購入が認められますが、それ以降の追加購入は認められないという商品性を持っています。

投資信託は元本が保証されておらず、運用成績は常に変動します。そのため、投資信託を選ぶ時には、過去の運用成績を参考にするしかありません。ところが限定追加型投資信託は、設定から2週間程度は追加購入できるものの、その後は原則として追加購入が認められないため、過去の運用成績を参考にして選ぶことができません。したがって、投資信託としてはあまり望ましいタイプではないと思うのですが、ここ最近設定されている限定追加型投資信託は、限定追加という特性を生かした商品特性を持っています。

具体的には、債券が主要投資対象となっています。投資信託の信託期間は5年程度で、その信託期間内に償還を迎える債券を中心にして、ポートフォリオを構築します。

そのメリットは、ある程度、信託期間が満了するまで保有した場合の利回りが読めることです。たとえば信託期間が5年として、5年で償還を迎える年利回り2%の債券だけでポートフォリオを構築すると、理論的には2%の利回りを稼げる投資信託を組成できるのです。

しかも、債券は償還日まで保有し続けると、発行体が債務超過でデフォルトにならない限り、利子と償還金の支払いが保証されます。

したがって、投資信託の信託期間内に償還を迎える債券でポートフォリオを構築すると、利回りがほぼ読めるだけでなく、投資信託でありながら、元本割れリスクを極力抑えた商品設計が可能になるのです。

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ただし、この商品性を実現するためには、運用期間中の資金流出入を極力抑える必要があります。新規資金が入れば新しい債券を購入しなければなりませんし、解約が生じてポートフォリオの一部を取り崩すことになると、せっかく信託期間に合わせた収益性の期待できるポートフォリオを構築したにも関わらず、そこに狂いが生じてしまいます。この手の商品性を持つ投資信託で限定追加型にするのは、より運用利回りと元本安全性を高めるうえでは必要不可欠なのです。

信託期間終了時までの運用利回りが読め、かつ元本割れリスクをできるだけ抑えた運用が期待できる限定追加型の債券投資信託ですが、問題はリスクとリターンのバランスが取れているのかどうかということです。

恐らく、この手の投資信託は、預貯金志向の強い人には向いていると言えます。しかし、いつリーマンショックのようなテールリスクが生じるかは誰にもわかりません。この手のリスクが露呈した時、期待リターンに対して、リスク度はアンバランスなほどに高まる恐れがあるのです。

昨年以来、国内外において長期金利の水準は上昇傾向にありますが、それでも投資信託の運用にかかるコストを加味したうえで、さらに年2%程度の期待リターンを得るためには、債券市場においてある程度の利回りで取引されている債券を組み入れるしかありません。

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ちなみに、債券のなかで最もクレジットリスクが低いとされる米国10年国債の利回りが3.4%程度。日本の10年国債利回りに至っては0.5%程度です。しかも、これらの利回りは償還までの期間が10年の長期債利回りです。限定追加型債券投資信託の信託期間は5年程度が主流なので、償還までの期間が10年の債券を組み入れるわけにはいきません。

ただ、償還までの期間が5年未満の債券の利回りは、10年債の利回りよりも低くなります。したがって、運用コストを差し引いて年2%程度の期待リターンを実現するためには、もっと利回りの高い債券を組み入れることになります。それを可能にするためには、クレジットリスクが高い(=信用力の低い)債券に投資するしかないのですが、この手の債券はマーケットの混乱に対して脆弱です。前述したようなテールリスクが示現した場合、この手の債券はデフォルトに陥るか、もしくは債券市場で大きく売り込まれ、組入債券の債券価格が暴落する恐れもあります。

こうしたリスクに対して、果たしてどれだけのリターンが期待できるのかという点を測りにかけた時、果たして限定追加型債券投資信託を購入する意味はあるのか、という点をしっかり考える必要があります。

正直なところを言えば、想定されるリスクに対して、期待リターンは低めであり、このようにリスクとリターンのバランスが不均衡な投資信託は、購入する意味がないと考えます。


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