鈴木雅光の「奔放自在」

新規設定のアクティブファンドを買ってはいけないワケ 

2024/11/15

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投資信託にはさまざまな種類があります。そのため投資対象や、運用スタート後に追加購入できるかどうかなど、いくつかの観点から商品分類が行われているわけですが、このうち運用手法の違いで分類すると、インデックス型とアクティブ型に二分されます。

インデックスは日経平均株価や東証株価指数、あるいはS&P500など、市場全体の値動きを示すインデックスに対して、運用成績が連動するようなポートフォリオを組んで運用されます。 

そのため、たとえば日経平均株価への連動を目指すインデックスファンドだと、日経平均株価が1年で10%値上がりすれば、ほぼ同等の10%前後、基準価額が値上がりします。 

一方、アクティブファンドの場合、一般的にベンチマークとして日経平均株価や東証株価指数などを設定しますが、運用成績をベンチマークに連動させるのではなく、それを上回ることを目指します。 

たとえば日経平均株価が1年で10%値上がりした場合、15%、あるいは20%という運用成績が実現するのと同時に、その運用成績が同じ運用方針、投資対象を持つ他のアクティブファンドよりも高ければ、そのアクティブファンドの運用担当者は、「良い仕事をした」と評価されます。 

さて、ここからが本題です。どの投資信託にも「はじまり」があります。つまり新規設定です。基本的に投資信託は、投資信託会社が「こういうファンドをつくろう」と企画して商品の細部を詰め、監督官庁からの認可を得た後、個人向けに販売できる投資信託として各種販売金融機関、もしくは運用会社による直接販売といった販路を通じて、一定期間の募集が行われます。 

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ファンドにもよりますが、長いもので募集期間は2週間程度です。その後、設定日が到来するのと同時に、集まった資金で株式や債券を買い付け、投資信託の運用がスタートします。 

こうした新規設定は毎月、どこかの投資信託会社でほぼ必ずといって良いほど、行われています。そして、それを購入する個人も当然、いるわけですが、問題は新規設定ファンドを簡単に買っても良いのか、ということです。この点については、インデックスファンドとアクティブファンドで大きな違いがあります。 

インデックスファンドは基本的に、株価インデックスなどに運用成績が連動するように運用されるため、過去の運用成績は、連動目標とするインデックスを参考にできます。そのため、過去の運用成績を持たない新規設定時であったとしても、連動目標となるインデックスの過去の推移を見れば、リスクの度合いを推しはかることは可能です。 

これに対してアクティブファンドは、ファンドの運用哲学や運用方針、運用担当者のスキルが、運用成績に大きく影響するため、その良し悪しを推しはかるうえで、過去の運用成績は必要不可欠といっても良いでしょう。 

一部では、「過去の運用成績が将来も続くとは限らないので、新規設定ファンドを買っても問題ない」という意見もありますが、これは暴論です。過去の運用成績が将来も続く保証はないので、あくまでも参考に過ぎませんが、それでも過去のマーケットの値動きと、ファンドの運用成績を比べることによって、そのファンドが持つリスクがどの程度なのかを、おおまかに把握することはできます。その意味において、やはり過去の運用成績は必要です。 

したがって、インデックスファンドは新規設定時に買っても良いのですが、アクティブファンドは少なくとも数年間、値動きをしっかりチェックして、特にマーケットが大きく下げた時のリスク度を把握しておくべきです。そのうえで、自分が許容できる程度のリスク度であることを納得できるなら、購入しても良いでしょう。 

ただ、新規設定のアクティブファンドを買ってはいけないとなると、どうやって運用資金を集めるのかという問題に直面します。 

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実際問題、運用資金が集まらなければ運用することができず、若干集まったとしても少額資金だと、十分な分散投資が出来ないだけでなく、運用資産の額によって得られる運用報酬が少なく、運用しているファンドの本数が少ない運用会社だと、経営難に陥るリスクが高まります。 

この問題をクリアするための方法は、運用方針、運用哲学、運用会社の理念などに共感できる投資家をどれだけ集められるか、にかかってきます。つまり運用成績云々ではないところで、どのように評価されるのか、ということです。 

しかし現実問題、運用方針、運用哲学、運用会社の理念などを掲げて、どれだけの運用資金を集められるのかは、何とも言えません。すでにたくさんのファンドを設定・運用している大手運用会社ならともかく、歴史もバックグランドも持たない小さな独立系運用会社が、アクティブファンドで資金を集めるのは、なかなか大変です。 

当然、運用資金が集まらなければ運用報酬を満足に得ることもできず、赤字が続くことになります。赤字がなかなか解消できないとなれば、運用会社の経営の持続性にも疑義が生じてきます。 

過日、PayPayアセットマネジメントが、なかなか資金が集まらず赤字決算が続いたことを理由に、来年9月をめどに事業を終了させると発表しました。この手の動きは今後も出てくるでしょう。 

アクティブファンドをメインで運用している運用会社のうち、運用ファンドの本数が少なく、資金も順調に集まっていないようなところは、それだけ企業理念などへの共感が得られておらず、結果的に市場から淘汰されるリスクが高いことを、理解しておくべきです。 

鈴木雅光(すずき・まさみつ)

金融ジャーナリスト
JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。


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