投資信託には市場規模に応じた適正サイズがある
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投資信託の「繰上償還リスク」とファンドの適正サイズについて解説。純資産総額が小さすぎると繰上償還のリスクがある一方、大きすぎると運用成績悪化の可能性も。投資対象市場の規模に応じた適正サイズの重要性と口数計算方法を鈴木雅光が詳しく説明します。

投資信託には「繰上償還リスク」があります。投資信託は償還期日が設けられるか、もしくは償還期日を無くした無期限のものがありますが、繰上償還は運用開始時に定められた償還期日を迎える前、もしくは無期限であるにも関わらず、償還されてしまうことです。
繰上償還されると、さまざまな問題が生じてきます。
まず自分の考えた運用プランに狂いが生じてしまうこと。当初10年は保有するつもりで購入したのに、1年で償還されてしまったら、別のファンドを探さなければなりません。
もちろん、繰上償還時の基準価額が、購入時に比べて値上がりしていれば、それでも償還差益が得られる分だけマシですが、問題は値下がりしている時です。1万円で購入したファンドの基準価額が8000円に値下がりしたところで繰上償還されてしまうと、手元に戻ってくるお金は8000円です。つまり2000円の損失を受け入れなければなりません。
また、NISA口座で運用しているファンドが繰上償還されると、満額になるまでの期間が先延ばしになります。

たとえばつみたて投資枠で1800万円の非課税限度額いっぱいまで積み立てるには、15年かかります。年間の積立限度額が120万円までだからです。
もし、10年間という決して短くない時間をかけて、1200万円まで積み立てたところで、そのファンドが繰上償還されたりしたら、またゼロの状態で積み立てていかなければなりません。しかも、つみたて投資枠は年間120万円までしか積み立てられませんから、1800万円の非課税限度額いっぱいまで積み立てるための期間が、15年ではなく25年になってしまいます。
このように、繰上償還されると運用上、さまざまな支障を来すため、出来るだけ純資産総額の大きなファンドを選びましょう、という話になります。ちなみに繰上償還されるのは、受益権口数が20億口以下になった時、とするファンドが多くを占めています。
ただ、問題は受益権口数を開示しているファンドが、ほとんどないということです。この場合、自分で受益権口数を計算する必要があります。
必要となる数字は純資産総額と基準価額です。基準価額は1口あたりの純資産総額のことなので、純資産総額を1口あたり基準価額で割れば、簡単に現在の口数を算出できます。たとえば、純資産総額が100億円で、1万口あたり基準価額が1万5000円だとすると、
100億円÷(1万5000円÷1万円)=66億6666万口
となります。上記計算方式で算出された数字が20億口を下回ってきたら、繰上償還リスクが高まってきたと考えられます。
前置きが長くなってしまい恐縮ですが、ここからが本題です。そうだとしたら、純資産総額が大きいファンドを選んだ方が良いのでしょうか。
確かに、純資産総額が1000億円、あるいは5000億円というように大きくなれば、繰上償還リスクは無くなります。


ただ、投資信託には必ず適正サイズがあります。純資産総額が大きいのに越したことはありませんが、大きすぎるのも考え物です。逆に運用成績が悪化してしまう恐れがあるのです。大事なのは、投資対象となるマーケットのサイズから見て大きすぎず、小さすぎない規模のファンドかどうかなのです。
たとえば債券市場に投資するファンドは、相当程度の資金でも十分に運用できます。現在、世界の債券市場の市場規模は、1382兆4000億米ドルと言われています。世界全体でこれだけの市場規模があるのですから、たとえば1本のグローバル債券ファンドの純資産総額が1兆円を超えていたとしても、何の問題もありません。
逆に、日本の中小型株式を組み入れて運用するファンドの純資産総額が5000億円だったらどうなるでしょうか。
これはもう運用できません。
仮に5000億円の純資産総額で、ある銘柄の組入比率が5%だとすると、投資する金額は250億円です。でも、日本の株式市場に上場されている4006銘柄のうち、時価総額が100億円に満たない企業は、実に1461銘柄もあります。時価総額が100億円に満たない企業の株式に250億円もの資金を投入したら、その企業の株価は暴騰してしまいますし、そもそも全株式を1社で買い占めてしまうことになるため、上場を維持できなくなります。
以前、中小型株式を組み入れて運用するファンドの運用者数名に、適正なファンドのサイズはどのくらいかを聞いてみたところ、全員が300億円と回答しました。純資産総額が300億円なら、その5%を投資したとしても15億円ですから、多少、時価総額の小さな企業の株式でも組み入れることができます。
繰上償還リスクを下げるためには、ある程度の純資産総額は必要ですが、いたずらに大きければ良いというものでもありません。投資先となるマーケットの市場規模を考慮して、適切な規模のファンドを選ぶ必要があるのです。
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