大統領選の根底には…
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2022年の中間選挙で、事前には圧倒的に有利な共和党が大苦戦、下院は圧勝のはずが、10議席差の辛勝で民主党を制したことがある(現在共和党219-民主党213空席3)。22年の番狂わせはその年の5月に最高裁が妊娠中絶を禁止する判決を出し、1972年以降50年間保証されてきた女性の権利が、大きく侵害されたことに対する女性のバックラッシュで、圧倒的に民主党が女性票を集めたというのが、その背景にある。
今回の選挙もこの基本的な背景は変わっていない。そもそもこの問題は、社会に対する宗教の介入であり、政治に対する宗教の介入である。保守的なクリスチャンによるこの避妊禁止運動はまさに中世の欧州を支配した宗教による国家支配の再来である。
女性の最高裁に対する怒りの噴出の方向が、女性の権利を縛る共和党への怒りに流れを変えることは容易に考えられる。
しかし筆者の考えるところ、22年中間選挙の背景にはそれ以外の要因もある。
どうも事の本質は、行き過ぎたEXREMISM(過激主義)に対するCIVILITY(文明社会)のバックラッシュといえるだろう。
相手を罵倒するのが基本のトランプ政治で放棄された、相手を尊敬する丁寧な言葉遣いや、思いやりの気持ちといったCIVIL な本質が人間の中には流れていて、絶え間ない罵倒の連続につかれた一般大衆がCIVIL な気持ちをマスとして取り返しつつあるということだろう。
米国の一般の人は結構CIVILである。日本人は街で行きづりの人と体が触れ合ってもまず無言であるが、米国の人はまず大抵“失礼!とかごめんなさい!”というのである。結構礼儀正しい所がある。
暴力、威嚇を本質とするトランピズムによる米国の分断が限界まで走った結果、分断から、少しずつ融和の方向に世の中が向かう最初の兆候であったのだろう。
その後も共和党の狂気化、極端なMAGA (MAKE AMERCA GREAT AGAIN)TRUMPER による右傾化は続いているが、さすがに中間層はついていけないということになるだろう。
これは一種のバブル破裂のようなもので、ある種の現象が限界まで走るとかならず、バックラッシュが起こるのである。
今年の本選挙ではトランプの政策がどうだとか、バイデンの年齢がどうだとかメディアで騒いでいるが、今回の、選挙の本質は、女性の怒り、とDECENTな社会への回帰願望が本質的なテーマではないかと思われる。その意味でトランプの当選はあり得ない。
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