若林栄四 ニューヨークからの便り wakabayashi

大統領選はメシの種

2024/01/26

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米国大統領選の予備選挙第2弾がニューハンプシャー州(NH)で1月23日実施された。

下馬評ではトランプの勝利は揺るがないが、対抗勢力である女性のニッキー・ヘイリーがどの程度トランプに接近するかという興味はあった。

結果はトランプ54%、ヘイリー43%と、ヘイリーは善戦した。

ここで共和党の登録投票者は75%がトランプに投票した。

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11月の本選挙でバイデン、トランプの老人対決になった場合の結果を占う、共和党以外のインデペンデント(独立系)の投票を見るとヘイリー60%、トランプ40%と中間層の嫌トランプの勢力は根強いものがある。

もう一つは52歳というヘイリーの年齢である。81歳のバイデン、78歳のトランプという絶望的なオプションから逃れるためにはヘイリーに肩入れするというのは共和党支持層にも、大いにあり得る選択肢である。

NHの予備選の結果、ヘイリーがトランプに追いついて党の指名を獲得するというシナリオはだいぶ遠くなったが、不可能ではない。

それよりなによりもトランプの本選挙での弱みが露呈されつつある。

トランプが戦った2016年と2020年の大統領選挙では、トランプが当選した2016年でも得票数では、民主党のヒラリー・クリントンが3百万票トランプを上回っていた。

トランプが負けた2020年ではバイデンとトランプの得票差は7百万票に開いている。

米国のトータルの流れとしては、保守の共和党よりもリベラルの民主党への流れは否定できない。高学歴化、都市住民の増加といった民主党の地盤の強化を防ぐことはできない。

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人為的に共和党に有利に作られた大統領選挙、あるいは議会選挙のシステムで何とかごまかしてきたが、とうとうたる大河の流れは食い止められない。

普通の手段では間に合わないので、トランプという毒物を使っても、何とかホワイトハウスを奪還したいという絶望的な状況に追い込まれている。

現在起訴されたトランプの刑事事件が4件、そこで91件の罪状で裁かれる男が、前回の7百万票のデフィシットをどれぐらいインプルーブできるのか。常識で考えればこの勝負はトランプの負けに決まっている。

ではなぜメディアがこれほど騒ぐのか。こんな選挙は最初から勝負にならないといってしまうと、4年に1度の“メシの種”の食い上げになってしまうからである。

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プロフィール

わかばやし・えいし
若林栄四

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍中。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
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・etc

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