バイデン・パッケージの意味するところ
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かねてから米国政治経済は40年ぐらいの周期で,変化してきていることを指摘してきた。
いまから40年前というと、事件でいえば1979年10月のFRB議長のボルカーによる金利革命である。金利の水準コントロールをやめてマネーサプライのコントロールで、高騰するインフレを抑えようとしたものである。その結果長期金利は1981年15%台まで高騰するが、見事にインフレを抑えて、その後40年間の米国経済のディスインフレの礎を築いた。
勿論金利が高騰して、大不況に襲われ、その2年間に2度のリセッションに見舞われたとき、選挙の洗礼を受けない高級官僚が、それだけの被害を経済に与えることについての異論は聞かれたが、最終的にはインフレ退治が成功したのでFRBがその後の経済のかじ取りを主に金融政策で対処することに対して特に国民の不満はなかった
それから40年たった今、金融危機のたびにFRBが出動して大量のカネをばらまき何とかリセッションを収めてきた。FRBは経済のどのセクターにカネが入るのか、コントロールする能力はないので、ただ大量にカネをばらまき、それが経済全体の体力に資することを期待するしかなかった。
その結果副作用である、マネーの異常な膨張が起こり、資産価格の暴騰、それによる貧富の格差の耐えられない拡大が進んだ。
選挙の洗礼を受けない高級官僚(FRB幹部)が事件のたびにカネをばらまく形で処理する方法は資産の高騰で限界に達している。これ以上の格差拡大を、正当性を欠く官僚に委ねることの是非が問われている。
今回の新型ウィルス禍で、米国議会は2020年~21年で合計6兆ドルの財政支出を許可した。
これは選挙の洗礼を受ける(経済政策の結果を選挙結果に反映させることにより、民主主義の正当性を維持することができる)議会が、高級官僚から政策の主導権を取り戻すという行為でもある。
バイデン政権の1.9兆ドルの景気刺激策にマーケットは湧いているが、実はこれは過去40年間の経済政策の官僚支配からの脱却のステップであり、高級官僚路線で成し遂げた正当性を欠く異常な資産価格の高騰及び格差の拡大が終わろうとしているのである。
NYダウで行けば1982年の770ドルから今日の32,000ドルまで高騰を支えてきた体制の崩壊である。高級官僚と違って、議会が間違いを犯せば、彼らは選挙の洗礼を受ける形で間違いを訂正する必要が出てくる。それらの行為はしかし、民主主義の正当性に基づくものである。
一部エリートがFRBという形で成し遂げてきた正当性のない経済政策の結果でこれ以上の貧富の差の拡大は許されない。
40年経った今、このエリートによる国家運営が問われようとしている。
パウウェルプットなどと浮かれている場合ではない。パウウェル議長が財政出動を促すのは当然であって、これ以上のFRBによる経済救済は弊害が大きいことを彼は示唆している。
詰まるところ米国議会による大型救済は、FRBによる資産インフレへのアンチテーゼなのである。
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