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10日の上海総合指数は1.32%高、政策期待で下げ止まる!!

2024/10/10

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中国株投資家の皆さん、こんにちは。

10日(月)の上海総合指数は高寄り後、一旦前日終値比マイナスまで下げる場面もあったのですが、すぐに切り返しています。

ただ、後場からは利益確定売りに押されており、終値は1.32%高の3301.93ポイントで引けています。

石炭、銀行、船舶・港湾などが買われた一方、半導体、証券などが売られています。

10日(月)の創業板指数は2.95%安となりました。

10日(月)の上海50指数は2.18%高となりました。

中国人民銀行は10日現地時間8:00、公開市場操作業務に関する公告(2024、第6号)を発表しました。

全文を直訳すれば以下の通りです。

三中全会における“資本市場における内在する安定性を増強するための長期的に効果のあるメカニズムを作り上げる”といった要請に応え、資本市場の健全で安定的な発展を促進するため、中国人民銀行は“証券、ファンド、保険会社によるスワップファシリティ”を創設する。

条件を満たす証券、ファンド、保険会社は債券、株式ETF、上海深セン300指数の構成銘柄などの資産を担保とすることで、人民銀行から国債、中央銀行短期債務証書(Central Bank Bill)などの信用度の高い流動性資産を借りること(スワップ)ができる。

最初のオペレーション規模は5000億元とし、状況をみてさらに一歩進んで規模を拡大する。

即日実施、条件を満たす証券、ファンド、保険会社からの申請を受け付ける。

重要な点は、共産党は三中全会で指摘するほど、資本市場の安定を重視しているということ、株価が急騰から急落に転じたタイミングで、こうした政策を中国人民銀行が打ち出したということです。

中国人民銀行を含め国務院は、共産党の指導の下に結果をだすことが求められるのですから、今後、再び相場が崩れるようなことがあれば、何らかの対策を打ち出すだろうと考えられます。

気になる点があるとすれば“これまで当局が政策を以て人為的に相場を安定させることができた試しがない”という点です。

今回も、9月24日に記者会見で政策を発表しただけで、株価は急騰しています。

いつものことですが、急騰すればそれをみて、企業からノンバンクまでが、あらゆる名目で銀行から短期資金を引き出し、それを株式市場に投じるといった“ルール破り”の行為がいたるところで発生します。

日本人の感覚では理解しにくいかもしれませんが、それこそちょっと規模の大きな企業の経理担当者が銀行の担当者との人間関係を駆使して、ごく短い期間、資金を調達し、それを株式投機に投じるというような“怖いもの知らずで、何よりも自己の利益の最大化に重点を置く、金儲けに極端に貪欲な連中”が無数に存在します。

ノンバンクは、証券会社と提携しているシステム会社に対して、違法な信用取引の原資となるような資金を提供します。

中国人民銀行は金融機関に対してそういうことができる限り起きないように厳しくチェックするよう指導したと8日の本土マスコミは報じています。

急騰すれば急落するのは必至です。

早くも、9日の本土市場は急落となったのですが、ただ、その急落の後始末として冒頭で示した政策が打ち出されたというよりも、第2弾、第3弾として、幾つも政策が用意されていて、それを小出しにしているのではないかとみています。

個人投資家中心の市場のままでは、投機的な値動きとなりやすいので、機関投資家が個人投資家から一旦資金を吸い上げて、それを長期的な視点から、ETFや公募ファンドに投資するルートを太くすることで、当局は相場を安定させようとしています。

この点についても、当局はそれこそQFIIを創設した2003年頃から長期投資家の育成に取り組んでいますが、依然として“道半ば”といった状況で、欧米市場、特に米国市場と比べれば、大きな差があります。

歴史は繰り返すこともあれば、繰り返さないこともあります。

これまでは上手くいきませんでしたが、今回は政策強度が上がっているので、NYダウのような長期的に大きな上昇トレンドがこれから形成されるかもしれません。

今後の政策運営に期待したいところです。

この点は景気対策についても同じです。

国家発展改革委員会は10月8日現地時間10:00、記者会見を開き“経済を上向きにさせ構造を最適化し、発展の大勢を引き続き上向きにするための政策パッケージ”を紹介したのですが、実際に大きな経済効果が期待できる案件は示されませんでした。

一方、国務院弁公室は10月9日“記者会見を12日10:00から開催し、財政政策による景気変動サイクルを打ち消す調整力を強化し、高い質の発展を推し進める政策について紹介する”と発表しています。

第1四半期の成長率は5.3%でしたが、第2四半期は4.7%に減速、第3四半期は更に減速するだろうと予想されます。

通年で5%前後の成長を達成するためには、この時点でどうしても成長率を高める即効性のある政策を打ち出す必要があり、それにはインフラ投資を中心とした政府投資拡大しかないだろうとみています。

市場が政策を評価せず、株価が下がれば、また別の政策発動があるでしょうから、引き続きボラティリティの高い相場が続きそうです。

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プロフィール

たしろ・なおき
田代尚機

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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