ドル高&円安。
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ドル・円相場が昨日のニューヨーク為替市場で1990年7月以来33年8ヶ月ぶりとなるドル高&円安水準の151.96を示現した。
先週、日銀政策決定会合が開催されて、
-マイナス金利政策の解除。短期金利を0~0.1%に誘導。
-長期金利操作(YCC.)の撤廃。長期国債の買い入れは維持。
-リスク資産の買い入れ縮小。上場投資信託(ETF.)と不動産投資信託(REIT.)の買い入れは縮小。
が決定されて実質的な利上げが行われたのにも拘わらず、円安が進んだのだ。
通常、中央銀行が利上げを行うと、長期金利と通貨は上昇し、株価は下げるものであるが、会合後円相場は全く上昇するどころか149円台からじわじわと値を下げて151.96まで上昇し、JGB.(10年物国債)は前日の0.755%から0.720%へと下落し、日経平均株価は再び4万円台を回復して終わり、正に想定外の動きを見せた。
日銀政策決定会合後の午後3時半からの記者会見で植田日銀総裁が、“現時点の見通し前提なら緩和的な金融環境が当面継続する。”と述べて当面これ以上の日米金利差縮小は期待出来ないとして円が売られたきらいは有るが、“サプライズの黒田。”との異名を持ち、突然の政策変更を得意とした黒田前日銀総裁が率いる日銀から、“リークの植田。”との異名を持ち、日経新聞を筆頭に幾つかのメデイアを通して政策変更の可能性を仄めかし続けた植田現総裁が率いる日銀のやりかたにより、今回の決定が殆ど市場には織り込み済みであったとも言える。
海外の投機筋が好む、Buy on rumor, sell on fact.(噂で買って、事実で売る。今回の場合は、円を会合前に買って、会合後に売る。)が進んだことも、この想定外の動きを助長することとなったと考えられる。
今回の日銀による実質的な利上げにも拘わらず、円相場が上がるどころか円安が進んでドル・円相場が今年の最高値(円の最安値)を付けたことに当の日銀のみならず、為替政策を牛耳る財務省も驚きを隠せないでいる。
先週海外出張で音沙汰の無かった我が国の為替政策の責任者である神田財務官は、“利上げが行われたのにも拘わらず通貨が安くなるのはファンダメンタルズを反映しておらず、投機的な動きがそれを助長している。”と不快感を隠さず、週明け記者団に対して、
-(為替)緊張感をもって注視してきた。
-(現行の為替動向)違和感を持っている。
-大きな変動がみられ、ファンダメンタルズに沿っていない。
-日米金利差は明らかに縮小し、今後も縮小が期待される。
との見方を示した上で、“行き過ぎた変動に対してあらゆる手段を排除せずに適切に対応する。すでに準備はできている。”と述べて口先介入を行った。
これを受けてドル・円相場は151.40から安値151.06迄下落したが、その後は再びドル・円相場は堅調な展開を見せて昨日高値を更新した。
これを受けて昨晩、財務省、日銀、そして金融庁が集まって所謂三者会合を行い、過度な為替変動を好ましくないとの考え方を確認した。
4月に入るとGPIF.のヘッジ目的の先物でのドル売りが解禁される。
GPIF.が実際にドル売りのオペレーションを始めるかどうかは分からないが、それまで(あと1週間)なんとか152円を上切らせない為に様々な口先介入(或いは実弾介入?)が出るであろう事は想像に難くない。
今週は月末、期末を控えて思わぬ動きに要注意。
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