市場は移り気。
週末のドル円レートを予想して10万円をゲット!
先週のドル・円相場は前週までの150円を挟んでの持ち合い相場から一転して急激な円高が進んで波乱の展開となった。
前週末に発表になった米ISM.非製造業景気指数が市場予想を下回り、米長期金利が低下したことを受けて150円割れで始まったドル・円相場は、月初特有の新NISA.決済の為のドル買い&円売りにより一時150.56の高値を付けたが、前週の高田日銀審議委員のややタカ派的な発言と取られた、“出口への対応も含め機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要。”との発言に次いで、同じく日銀審議委員である中川氏が、
“2%物価目標の実現へ着実に歩を進めている。”
“予断持たずに情報収集を続けた上で判断したい。”
“今春の賃金改定、過去対比で高めの水準で着地する蓋然性が高まっている。”
“物価目標が見通せる状況と判断されて政策見直す場合、YCC.やリスク性資産買い入れなどについて修正要否判断。”と述べ、また政府関係者からも3月~4月のマイナス金利解除を容認する論調が報じられて俄かに日銀の早期マイナス金利解除観測が台頭して、特に海外勢からのドル売り&円買いが殺到してドル・円相場は一時146.48迄急落した。
この国内要因のみならず米国では11月の大統領選挙候補を決めるのに最も重要なスーパー・チューズデイに於いて共和党のトランプ前大統領が圧勝して、“もしトラ=もしトランプが大統領になったら。”から“ほぼトラ=ほぼトランプ大統領になりそうだ。”に変わり、実際にトランプ前大統領が再び大統領に返り咲いた折の、“何となく不安。”の心理がリスク・オフのドル売りを加速した感が有る。
週末に発表になった2月の米国雇用統計発表もドル売りに拍車を掛けた。
雇用統計は非農業部門雇用者数は市場予想の+20万人を大きく上回る+27万5千人であったが、1月の驚きの+35万3千人が+22万9千人に下方修正され、また失業率の3.7%から3.9%への悪化や平均時給の伸びが市場予想を下回って長期金利が低下して更なるドル売りを誘ってドルは対円のみならず対ユーロ、対ポンド、対豪ドルでも値を下げた。
米長期金利が低下したにも拘わらず株価はエヌビディアを筆頭とするIT.関連株に調整売りが入って下げ、金利低下を好感して金とビットコインの上げ基調は止まらない。
又、シカゴ・IMM.は前週から多少ポジションを縮小した(約11億ドル)ものの依然として巨額の円のショート(凡そ99億ドルのロング)を保持しており、又我が国個人投資家は前週の約2億ドルのショートからドテンして約1億ドルの買い持ちに転じていた為、彼らの損切りのドル売りがドルの急激な下げを誘発したとも言えるであろう。
今週末発表の3月5日付の彼らのポジションが見ものである。
先週の高値150.56から安値の146.48までの下げは大きいが、今から振り返ると下げの予兆は有ったと思わざるを得ない。
-買われ過ぎか売られ過ぎかを判断するMACD.、ストキャスティクス、RSI.などのテクニカル分析は軒並み“買われ過ぎ。”との警告を発していた。
-150.50以上でのオプション絡みのドル売りは執拗で、大きな壁となっていた。
-ヘッジ・ファンドは3月18日~19日の日銀政策決定会合を睨みながら、145円以下をストライクとする短い2週間のドル・プット(ドルを売る権利)を大量に購入し始めており、市場のセンチメントはドルの下落&円の上昇を見込み始めていた。
何時もながら市場の移り気の早さには驚き、そして呆れるが市場は常に正しい。
下がるには理由が有り、上がるにも理由が有る。
今回は、国内の理由(日銀による早期のマイナス金利脱却からの思惑の台頭。)、海外の理由(米国雇用データの悪化とほぼトラに対する不安。)、そしてテクニカル分析により相場は下げたが、この状況は少なくとも日銀政策決定会合が終わる3月19日まで続くであろう。
個人的にその後はFRB.高官のコメントに一喜一憂しながら3月(19日~20日)、4月(30日~5月1日)のFOMC.を終え、6月(11日~12日)のFOMC.で利下げが開始されるかを見極めることになろうかと思っている。
イメージ的には日銀政策決定会合迄は先週迄とは真逆のSell o n rallies.(上がれば売る。)戦略で臨み(あと2週間はドルが下がり易いと考える。)、その後は逆にBuy on dips.(下がれば買う。)戦略に戻す(6月のFOMC.迄はドルが上がり易いと考える。)積りでいる。
そしてもし想定通りに6月のFOMC.で利下げが開始されれば、再びドル・円相場は下げに転じるのかなと思っている。
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