怒涛の一週間。
週末のドル円レートを予想して10万円をゲット!
12月に入り、いよいよ年末に向けて押し迫ってきた先週は怒涛の一週間となった。
きっかけとなったのは木曜日に植田日銀総裁が参院財政金融委員会での答弁で、年末から来年にかけて一段と慎重な金融政策運営が求められるとの認識を示したことにある。
植田総裁は4月の就任以降の金融政策運営はさまざまな不確実性が高い状況の下で“チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる。丁寧な説明、適切な政策に努めていきたい。”と述べ、“物価目標達成の見通しが立つようになれば、マイナス金利の解除、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC.)のフレームワークの見直しが視野に入ってくる。”と述べた。
チャレンジングとは“挑戦的である。”と共に、“やりがいのある。”=(難しいが、成し遂げられれば充足感や手応えが有る。)と言う意味である。
植田総裁はついこの前まで、“日本銀行としては、粘り強く金融緩和を継続する方針である。必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。”とハト派的スタンスを維持していた筈なのだが、このニュースが流れた直後から海外の投機筋から猛烈なドル売り&円買いの注文が殺到してそれまで147円台で静かに推移していたドル・円相場は141.60迄急落した。
先週初からマーケットは明らかにドル・ロングであった。
先週の火曜日、12月5日の時点でシカゴ・IMM .は円の売り持ちをさらに増やしてネットで104,956枚の円のショート・ポジション(ドル換算で約89億ドルのロング。)を保持しており、我が国個人投資家も前週から7億ドル増やしてネットで11億ドルのロングであった。
火曜日のニューヨーク為替市場の終値は147.21で、我が国個人投資家はそれまで146~147円台まで落ちると必ず148円台までリバウンドしてきたことを見て、ドル・ロングのポジションを増やしたものと思われる。
シカゴ・IMM.の長きに渡る円のショート・ポジション(ドルのロング・ポジション)保持の胆力には驚嘆するが、実は彼らは同時にユーロのロング・ポジションを保持して来た。
それは12月5日時点でネットで152,360枚のユーロ・ロング(約19億ユーロ=約20億ドル)であり、円とユーロのポジションには大きな開きがあるが、少なくとも彼らは円のショート&ユーロ・ロングでユーロ・円のロングであったことが分かる。
ユーロ・円は年初の137円台から週末156円台まで約14%上昇しており、今回の151円から145円までの短期のドル安&円高(約4%)の動きでも、ネットではそんなに大きなダメージは被っていないのかも知れない。
(勝手な筆者の憶測でしかないが)
では彼らが何時になったら円のショート・ポジションを投げるかであるが、それは虎の子のユーロが本格的に下げ始めた時になるのではなかろうか?
来年はドル金利の下落に伴い、ドルの下落が予想されるがユーロもECB.による利上げ停止によりユーロ下落を予想する向きも多い。
その時にシカゴ・IMM.がポジション縮小を図れば、同時に円のショート・ポジションの縮小を図るのではないかと思っている。
円のショート・ポジションの縮小=ドル・円の下落、ユーロのロング・ポジションの縮小=ユーロ・ドルの下落。
これを掛け合わせるとユーロ・円の下落となるが、来年に向けてユーロ・円のショート・ポジションの構築を考えても良いのではないかなと思い始めた。
但し、そう急ぐ必要も無い。
植田総裁の発言により俄かに日銀の政策変更の期待が高まったが、それは早くとも来春の話。
金曜日の11月雇用統計の数字が市場予想通りに良くて、前のめりになっていた早期利下げの機運が多少スローダウンした感が有る。
利下げが有るとしても、こちらも来春以降の話。
個人的には先週のドタバタ劇はやり過ぎではないかなと感じている。
とは言え、マーケットは依然としてドル・ロングであろうと確信しており、ドルの頭の重い展開は続くであろう。
金曜日の良い雇用統計の発表直後、直ぐに144.35から145.20まで急騰した後、今度は143.75迄急落したのは矢張りドルが上がれば売りたい連中が沢山居ることを示しているのかも知れない。
暫くはSell on rallies, but don’t be greedy.=(上がったら売ろう、但し余り欲をかくな。)の戦略で行こうと思う。
先週は怒涛の一週間となったが、筆者に言わせれば“展開的な12月の相場。”
利益チャンスも有るが、思わぬ動きで損失を被るリスクも多い。
気を付けて参りましょう。
今週のテクニカル分析の見立てはトレンドは下を示すものの、そろそろ短期的な売られ過ぎを警戒し始めており、突っ込み売りは要注意。
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