個人投資家の変身。
週末のドル円レートを予想して10万円をゲット!
先週は、前週に発表された弱い米国消費者物価指数(前年比で+3.3%)の発表を受けて、市場はFRB.の利上げサイクルはすでに終了との見方を固めはじめ、同時に来年の利下げ期待も台頭して長期金利が下がり、ドル・円相場は一時147.16迄急落した。
前週初に付けた151.91から凡そ1週間で実に4円75銭の下げを見せたことになる。
この急激なドルの下げの背景には最大規模の円ショート&ドルロングのポジション(11月14日付で凡そネット13万枚の円ショート=凡そ107億ドルロング)を保持していたシカゴ・IMM.の投機筋がサンクスギビングデイの祝日を控えてポジションの縮小(円のショート=ドルのロングの反対取引、言い換えれば円の買い戻し=ドルの売戻し)を図ったと言われているが、毎週末発表される火曜日付(11月21日付)のポジションがサンクスギビングデイの影響であろうか、月曜日午前中の段階で未だ発表されておらず、推測に過ぎないが恐らく円のショート=ドルのロングポジションが大きく減っているであろうと想像する。
興味深いのはシカゴ・IMM.が円のショート=ドルのロングポジションを増やしたのとは反対に、前週の5億ドルの買い持ちから11億ドルの売り持ちに転じた我が国個人投資家は、正にドルが急落して147.17を付けた11月21日付で再び一気にドルの買い戻しに入り、9億ドルの買い持ちに転じた。
1週間で一気に20億ドルの買い戻しを図ったことになる。
その後に発表されたFOMC.議事録でメンバー全員が金利について慎重に進めることで合意した一方、金利は当面制限的と判断していたことが明らかとなり、インフレの進展が不十分な場合は追加引き締めを検討するとも述べて、予想通りに追加利上げの可能性を残すタカ派な内容であったことを受けて長期金利が上昇したことを受けてドル・円相場は大きく買い戻されて149.75迄戻すこととなった。
先週のドル・円相場は、(恐らく)シカゴ・IMM.の円の買い戻し=ドルの売戻しにより、下げも早かったが、我が国個人投資家によるドルの買い戻しにより上げも早いと言う目まぐるしい展開であったと言えようか?
そろそろ円安の流れの転換を期待したが、中々問屋はそうは簡単には卸しそうにない。
縮小が期待される日米金利差は今日明日に起きることは有り得ず、円のロング=ドルのショートの保持は凡そ5~6%の日々のキャリー・コストがずしりと伸し掛かり、どうしても短期勝負しか出来ない。
先々週から先週に掛けての個人投資家のドル・ショートからドル・ロングへの鮮やかな転換(変身)からも見て取れる。
ドルをロングしておけば、年率凡そ5.5%(1年に約8円)の金利差を得られる訳で、言い換えれば1年で約8円、ひと月で約68銭、ドルが下げてもチャラとなる計算になる。
逆にドルをショートにしていると、1年で約8円、ひと月で約68銭以上ドルが下げないと利益が上がらないことになる。
先週147円台Low.で下げ渋ったドル・円相場であるが、テクニカル上は天井を打ったと言う見方が多い。
筆者はテクニカル分析を得手としないが、日足チャートを見ると10月31日に付けた151.71と11月13日に付けた151.91でダブル・トップを形成したと聞く。
(注:ダブル・トップ。=(Double Top)は、「二点天井(二重天井)」とも呼ばれ、チャートパターンの一つで、チャート内で二度同じくらいの高値を付け、ローマ字のMのような形状のものを言う。
具体的には、上昇・下落・上昇・下落を繰り返し、相場の天井圏で二つの高値が形成された後に、その二つの高値の間の谷にあたる部分の安値水準(ネックライン)を二度目の下落の際に下回った(割り込んだ)場合に、上昇から下落への反転パターンとするものである。)
年率5.5%の金利差を享受しながら多少のドルの下落を我慢しながらドルのロングで行くか、或いは年率5.5%のペナルティー(スワップ・コスト)を払いながら最悪の場合は上値での介入期待で思い切ってドルのショートを張るか?
悩ましい年の瀬となりそうである。
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