“ドル売り&円買い介入。”
週末のドル円レートを予想して10万円をゲット!
凡そ1週間前の7日(水)にドル・円相場は24年ぶりの戻り高値となる144.98を付けたがその後じりじりと値を下げて今日は安値142.04を付けている。
今晩発表になる8月のアメリカの消費者物価指数を前にしてポジション調整(ドルを買っていた人がドルを売って利食いを行う。)が起きているのであろうが、市場が多少とは言え金融当局のドル売り&円買い介入を警戒しているのではないかと思うので、昨日書いた筆者の個人的意見を此処で述べてみたい。
先週木曜日に財務省、金融庁、そして日本銀行が集まって所謂三者会談を開催し、神田財務官が”最近の円安進行は明らかに過度な変動であり、政府・日銀は極めて憂慮しており、あらゆる措置を排除せず、為替市場において必要な対応を取る準備がある。”と述べた。
何時も相場には関係無い金融庁が参加することを不思議に思っているのだが、まあ所謂金融当局が集まって円安を牽制しようとしたことには間違いは無い。
そして金曜日午前中には黒田日銀総裁が岸田首相と官邸で協議を行った後に、”為替相場が1日に2円~3円動くのは急激な変化と認識しており、今後も為替相場を注視する。”と述べて過度な動きを警戒する姿勢を示したこともその後のドル売り&円買いを誘った。
俄かにドル売り&円買い介入の可能性についての議論が高まったが、敢えて個人的な意見を述べると、
-”インフレに悩むアメリカはそれを緩和するドル高を望んでおり、ドル売り介入を許さない。”と言う意見に対しては、確かにアメリカ財務省は基本的には介入には反対であるが、アメリカが中国とロシアに対して対決姿勢を強める中、アメリカ寄りの日本を懐柔させる為には為替問題はMinor issue.(小さな問題)であり、日本政府が介入を行うと言っても反対はしないのではないか?
日韓関係に関しても安倍政権よりは柔軟的な岸田政権に対してアメリカ政府は一定の評価をしている。
-”ドル売り&円買い介入は原資にドル外貨準備を使うので甚だ難しい。”と言う意見に対しては、我が国の外貨準備は1兆3000億ドルを超えており、1998年に榊原元財務官がドル売り&円買い介入を行って,”1回で外貨準備の1割を使ってしまった!これ以上は難しい。”と匙を投げた時の約2000億ドルの準備高から6倍以上の規模に達している。
あの頃よりは、相当余裕があるものと思われる。
-Don’t fight the Fed.(Fed.とは喧嘩するな。)と言う諺が有る。
言い換えれば”中央銀行とは喧嘩するな。”ともとれる。
今年6月に海外の投機筋が我が国10年債を売り浴びせて、利回りが一時日銀のイールド・カーブ・コントロール政策の上限である0.25%を超えたことが有ったが、日銀はすかさず指値オペを行って0.25%で無制限に債券を購入すると宣言して利回りが0.2%近くまで急落して投機筋はこっぴどい目に遭った。
1998年のドル売り&円買い介入は短期的には功を奏せず147台まで上昇したが、たった一月で115円台まで下落した記憶が有る。
この年は、ロシアの財政破綻に伴うルーブル・ショックが起きてそれがヘッジファンド危機に連鎖し、世界経済が急にリスク回避モードとなってドルが下落したこともあり、Mr.Yen.のドル売り&円買い介入のせいでドルが下がったとは言い切れないが、矢張り介入は短期的には効かないこともあるが、長期的には必ず聞くと言うのが筆者の経験からの持論である。
実は1985年のプラザ合意の時もそうであった。
9月23日、日本の祭日の折に休日出勤してドル売り介入のお手伝いをしたが、介入当日は240円くらいから242円まで上昇したが、2日間で20円近く暴落したのを覚えている。
急にドル売り介入に怖気づいた訳ではないが、先週の金融当局と官邸の動きを見ると”何だか嫌な気がする。”と言う漠然としたものを感じるのである。
介入が有るか、否かは分からない。
介入が効くか、否かも分からない。
市場では145円を上切ったら次は148円、そしてそれをも上切ったら次は150円と言う意見が多い。
それを上切ったら、チャート的には次の目標となるレベルが分からないとも言われているが、50年為替をやってきた者として”何となくキナ臭いなあ。”と感じている今日この頃である。
週末のドル円レートを予想して10万円をゲット!