“ゲーム・チェンジ。”
週末のドル円レートを予想して10万円をゲット!
ドル・円相場が高騰している。
どうやら市場のセンチメントががらりと変わった感じがするので、昨日書いたレポートを要約して考えをまとめてみたい。
どうやら為替市場においてゲーム・チェンジが起きた感が有る。
そのゲームとは、ドル・円相場に関してはファンダメンタルズ(相対的に高い米国景気動向と高金利)によるドル高&円安傾向と、地政学的リスク悪化によるリスク・オフの動き(現在のウクライナ情勢がその最たるもの。)による円買いからくるドル安&円高の綱引きが続き、115円を挟んだレンジ相場が暫く続くと言うものであった。
ところが先週、ウクライナ情勢が膠着どころか何方かと言うと悪化していると思われた矢先、突然金曜日に円売りが台頭して今年2回破れなかった116.40手前のレジスタンス(上値抵抗線)を上切るとあっと言う間に117円台まで上昇、今日の東京市場では高値118.45を示現している。
先週初114.92で始まったドル・円相場は金曜日まで5連騰を続け、週明けの昨日、そして本日も始値118.12から上昇しており、7連騰と言うドル・円相場にしては珍しい一方的な動きを見せている。
筆者は “テクニカル分析の見立て”から115.50を上切ったら更なる上昇も有り得るのかなとは思っていたが、残念ながら高所恐怖症に苛まれてこの流れに乗ることが出来なかった。
このゲーム・チェンジが起きた理由を考えてみると、
-8日に財務省が発表した1月の国際収支統計(速報)で我が国の経常収支が1兆1887億円の赤字と発表され、2ヶ月連続で赤字を計上した。
しかもこの赤字額は2014年1月の1兆4561億円の赤字に次ぐ過去2番目の赤字額で、エネルギーや原材料費の高騰で2月以降も赤字が続くと市場は考えて、ドル高に備えた。
-114円台で我が国機関投資家と思われる執拗なドル買いが見られたが、どうやらこれは”新しい資本主義”を目指す岸田内閣が創設を決めた”大学ファンド”がドル建て資産を購入する為にドル買いを行った節が有る。
大学ファンドは、政府、民間、大学が資金を出し合って創設した10兆円規模のファンドで、運用益を科学技術に関する研究設備の充実や人員育成に使うとされる。
詳細については未だヴェールに包まれてよく分からないが、運用益の目標率は4%近くと世界最大の投資家であるGPIF.のそれよりも大きいと言われている。
大きな運用益を狙うからには相当積極的な投資姿勢が見られるだろうと期待されている。
-この大学ファンドのドル買いの可能性を聞き付けた短期の海外投機筋のヘッジ・ファンド勢が巨額のドル買いを行った。
-”有事のドル買い。”と”リスク・オフ時の円買い。”の均衡で115円近辺でバランスを保っていたドル・円相場であるが、必ずしも”リスク・オフ時の円買い。”が有効ではないと市場が察してドルの価値≒円の価値の図式が崩れて円の価値がその他通貨同様に対ドルで下がった。
結果としてドル高&円安となり、ドル・円は上昇した。
どうやら市場はトランプ政権誕生後のトランプ・ラリーで上昇した2016年12月の118.66を意識し始めた。
そしてその後は大台の120円を狙うであろうが、何回か触れた円の現在の実質実効ベースでの50年来の弱さ、そして円安による輸入物価上昇=インフレ加速(と言うよりは物価高加速)を懸念した政府や金融当局からの円安牽制発言の可能性についても忘れないでおきたい。
今週のテクニカル分析の見立ては、現在のドルの7連騰を受けてドル・ロング維持を推奨しており、先週までのレジスタンスの116.40がサポート(下値支持線)となるか注目される。
週末のドル円レートを予想して10万円をゲット!