侮るなかれ、個人の力。
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昨日のニューヨーク株式市場で、ダウは2.0%、ナスダックは2.6%、そしてS&P.は2.5%の大下げを演じ、今日の東京株式市場でも日経平均株価は午前312円安(1.1%安)で引けた。
午後12時50分現在で352円安まで更に下げている。
ニューヨーク株式市場の3指数は先週まで連日史上最高値を更新し続けており、高値警戒感が漂ってはいたがどうやら昨日の下げは個人投資家の投機的な動きが端を発したのではないかと言われている。
異変が起き始めたのは2週間前の1月13日頃のこと。
ゲーム・ストップと言うビデオゲーム小売りチェーンの株価はヘッジ・ファンドの空売り攻勢に遭って永らく19~20ドル近辺で低迷していた。
そこへ個人投資家がSNS(交流サイト)のチャット・サイト上で団結して、”ゲーム・ストップ株のコール・オプション(株を買う権利。)を買おう。”と呼び掛けた。
現価格が19ドルの株を18ドルのストライク・プライスで買う権利のコール・オプションを買おうとすると当然プレミアム(手数料の様なもの。)は高いが、これを25ドルのストライク・プライスで買う権利を買おうとすると凄く安くなるし(誰も25ドルまで上がるとは思っていないから、喜んでコール・オプションを売ってプレミアムを受け取ろうとする人が沢山居る。)
ましてや60ドルのストライク・プライスならプレミアムは只みたいなものだろう。
もしゲーム・ストップの株価が60ドルになれば25ドルのストライク・プライスでコール・オプションを勝った人は60-25=35ドルからプレミアムを引いた分が利益になる。
コストはプレミアムだけだ。
反対に25ドルのストライク・プライスでコール・オプションを売った人は株価が60ドルになっても25ドルで売る義務を負っており、60-25=35ドルからプレミアムを引いた分が損失になる。
株価が60ドルならまだしも、何と26日にはゲーム・ストップの株価は148ドルに急騰し、昨日は347ドルで1日で1.3倍になり、25ドルのストライク・プライスでコール・オプションを売った人は347-25=322ドルの損失から雀の涙(?)のプレミアムを引いた分がそっくり損失となった。
オプションを買うとコストはプレミアムだけで済むが、売ると無限の損失を被るリスクを負うから要注意だ。
結託してコール・オプションを買った個人投資家は大儲けしたが、現物を空売りをしていたヘッジ・ファンドとコール・オプションを売った証券会社は大損をし、仕方なく手元の利が乗った他の株を売ったが為に昨日の大幅な株価の下げに繋がったらしい。
コロナで排出制限などが有って時間を持て余す若い個人投資家がゲーム感覚で株の売買をしており、テスラなどの大した実績の無い会社の株を、”上がるから買う。買うから上がる。上がるから買う。だからまた買う。”と言う現象が起きていると思うのだが、”侮るなかれ、個人の力。”と思うと同時に”何がきっかけで下がるか分からんな。”と言う恐怖も感じる。
ドル・円相場は昨日まで約10日間も103円台で静かに推移していたが、昨日のニューヨーク市場で株価が下がってリスク・オフの展開となってドル高の展開となり、104円台を回復したが、このゲーム・ストップ騒動でそれこそゲーム・チェンジ(堅調な株価が調整し、リスク・オフとなってドルが買い戻される。)となるか、見物である。
ドル・ベア(ドルに弱気派)としてはドルを売りたくてうずうずするが、果たしてゲーム・チェンジが起きつつあるのかを見極めるまでは下手に手を出すのは止めておこう。
104.50が上切れたら要注意!
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