彼方でも、此方でも。
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トランプ大統領再選に黄色信号が灯りだした。
民間調査会社が行う世論調査によると、トランプ大統領とバイデン候補の支持率は相変わらず10ポイント近くバイデン候補の方が抜きん出ている。
トランプ大統領は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ロムニー米上院議員、パウエル元国務長官などの共和党重鎮からの支持を失いつつあり、直近ではマティス前国防長官が公然と”アメリカ人を分断しようとしている。”と批判したが、海兵隊出身で叩き上げの元軍人がアメリカ軍の最高司令官である大統領を公然と批判するのは極めて稀である。
ワシントンで週末行われた白人警官に殺された黒人を弔うデモにも多くの退役軍人(ヴェテランと呼ばれ、アメリカでは大変尊敬されている。)が参加して、トランプ大統領を糾弾するシーンが見られた。
共和党の後ろ盾や民間人の支持を失いつつある中、益々トランプ大統領再選の可能性が少なくなりつつあるのではなかろうか?
昨日発売されたボルトン元補佐官の暴露本も、トランプ大統領にとっては痛手となろう。
トランプ大統領は裁判所にこの暴露本に国家機密が書かれているとして発売禁止を求めたが、裁判所はその求めを一蹴した。
見掛け上はトランプ不利なのだが、どう言う訳かアメリカ人の多く(特に富裕層)が依然としてトランプ再選を信じている。
理由は簡単で、もしトランプ大統領が敗北してバイデン大統領が誕生すれば”America first.”を囃し立てて過熱気味であった株価が再び下がるからである。
それでなくてもバイデン候補は富裕層と法人に対する増税を公約としており、トランプ敗戦=株安&ドル安となる可能性が高い。
これは彼方の話。
此方では”一強”と呼ばれていた安倍政権の屋台骨が傾ぎだした感が有る。
“桜を見る会”の不明瞭会計問題、財務省職員の自死に対する冷酷な対応、お些末な賭けマージャンで首が飛んだ検察庁のお偉方の任命責任、そして夫婦揃って検察庁に逮捕された現職国会議員と元法務大臣の任命責任など、安倍首相のリーダーシップに対する不満が蓄積されつつある感じがする。
アベノマスクの評判も散々だ。
直近の調査では安倍内閣の支持率は”支持する。”が34%で、”支持しない。”の50%を大きく下回る。
支持率が20%台に入ると自民党内からも相当な批判が出て来るであろう。
問題は、”では誰が後継者となって政権を立て直すか?”であるが、どうもよく分からない。
安倍首相は、衆議院解散については”全く考えていない。”とその可能性を一蹴するが、支持率が下がり続けたらそうも言ってはいられまい。
安倍首相が退陣したらどうなるか?
当然、景気浮揚と株高を演出してきたアベノミクスの終焉である。
ある意味”America first.”を標榜したトランプ大統領が敗北したら株価とドルが下がるであろうとの推測が安倍首相退陣にも当て嵌まるかも知れない。
もし安倍首相が退陣すれば株安&円高となる可能性が高い。
選挙は水物。
アメリカ人の間では、依然としてトランプ大統領が再選されるであろうとの意見は根強い。
消去法から考えても安倍首相退陣の可能性は現状では低いかも知れない。
只、もし彼方でトランプ大統領再選が成らず、此方で安倍首相退陣の様なことになれば相当過熱気味の株価は下落し、ドル・円も大きく下げる様な気がしてならない。
但し、これは今日、明日の相場を意識してのものではなく、夏から秋に掛けての中期的なView.であることをお断りしておく。
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