トランプの開拓時代始まる
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「すべての野蛮人たちを根絶せよ」
1月にホワイトハウスに返り咲いて以来、傍若無人に振舞う米ドナルド・トランプ大統領のダークサイドを探っているうちにそんな物騒なタイトルの本が目に留まった。
手に取ってみると、英作家ジョゼフ・コンラッドが西洋植民地主義の暗部を描いた小説『闇の奥(Heart of Darkness)』(1902年)に触発されたスウェーデンの国民的作家スベン・リンドクヴィストが、今日の欧米に潜む白人至上主義・優生思想のルーツを旅行記の形で掘り下げた秀作で、夢中になって一気読み終えた。
二度の大統領選に勝利し、アメリカ征服から世界征服へと狂気と幻想の中をひた走るドナルド・トランプと宗教国家アメリカの本質が浮かび上がってくるようだった。
アメリカには独りよがりのマニフェスト・デスティニーという思想がある。
マニフェスト・デスティニーは「明白な運命」と訳され、19世紀アメリカ合衆国の西部への領土拡大を神が与えた使命であるとして正当化する考えだ。19世紀後半のアメリカで広く受け入れられた。
言い出しっぺだったジャーナリストのジョン・オサリヴァンは「自由と自治政府とからなる連邦という偉大な実験を進展させるために、神が与え給うたこの大陸全体を所有するのは我々の明白な運命だ」と力説した。
だが早い話が、アメリカ人が先住民の殺戮を繰り返して西海岸まで領土にしたことを正当化する言葉だった。それで命を落とした先住民たちはたまったものではない。
さらに飽き足らず、第23代ハリソン大統領は神聖な使命の範囲は太平洋の先までだとしてハワイ王朝まで拡大。次のマッキンリー大統領はハワイを併合しグアムもフィリピンも領土にした。それも宗教的使命感として。挙句にトルーマン大統領は日本に原爆を2発も落とした。
人種差別主義者のトランプがカナダやパナマ運河、グリーンランドを欲しがっても不思議ではない。
「明白な運命」ですから。
歴史をさらに遡れば、著名な自由主義哲学者ハーバート・スペンサーは著書『社会静学』(1851年)で、帝国主義は劣等人種を地球上か一掃することで文明に貢献している」と喝破している。
『野蛮人を根絶やしにせよ』は、民族虐殺は共産主義やナチズムによるものだと思いがちだが、じつは西欧やアメリカの植民地主義がそのお手本だったことを気づかせてくれる。
思索の旅を終えたリンドクヴィストはその代表作を次の言葉で締めくくっている。
「あなたは知っている。私も知っている。欠けているのは知識ではない。私たちに賭けているのは、知っていることを理解し、結論を導き出す勇気だ」

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