北國台湾総統選
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習近平国家主席の歯ぎしりが聞こえてくるようだ。
年明け早々に行われた台湾総統選挙は、与党・民進党の対中強硬派である副総統の頼清徳氏が558万を超える票を獲得し三つ巴の戦いに勝利した。
同じ政党が3期続けて政権を担うのは1996年に総統の直接選挙が始まって以来の初めてのことだ。
この選挙を誰よりも注視していたのは中国の習近平国家主席だろう。習政権にとって、新疆ウイグル地区やチベット自治区そして香港と同じように、台湾は絶対に譲ることのできない”核心的利益“だからである。そのためには「外部の干渉や台湾独立勢力に対して武力行使を放棄することはない」とまで明言している。
ところが新総統に選ばれたのは、中国が危険な「分離主義者」として敵視してきた頼清徳(らい せいとく)氏(64)。いかに憲法を改正して国家主席の任期を撤廃し全権を掌握したといえども習主席の心中は穏やかではないだろう。
頼氏は北部の貧しい炭鉱労働者の家庭に生まれた。幼くして父を亡くし、苦学して成功大学やハーバード大学で学んだ後、内科医として勤務。1990年代に政界に進出し、台湾の民主化運動に専心してきた人物だ。
副総裁には母が米国人で父が台湾人の蕭美琴(しょう・びきん)氏が就任する。彼女は最近まで台湾の駐米代表を務めていた。二人とも大陸や香港へ渡航することを禁止されているくらい中国政府に嫌われている。
勝利宣言で頼氏は、「封鎖は交流へ、対立は対話へ、自信をもって中国と交流や協力を展開し、台湾と中国の人たちの福祉を増進し、平和と共栄という目標を叶えます」と述べ、蔡英文政権が8年間進めてきた「統一でも独立でもない」現状維持路線の継承をアピールした。中国との関係悪化を恐れる国民の不安を和らげたかったのだろう。
しかしその一方で「中国の脅威や脅しから台湾を守る決意だ」と付け加えることも忘れていなかった。
慎重に言葉を選んだ発言の背景には、総統選と同時に行われた総選挙で民進党が議席を大幅に減らして少数与党に転落したことがある。安定した政権運営のためには総統選を戦った柯文哲氏が率いる第3政党の民衆党との協力が必須だと頼氏は考えたのだ。柯氏は米国との関係強化路線に賛同する一方で中国との対話にも積極的だ。頼次期政権の強硬路線に一定の歯止め役となる可能性がある。
どちらにせよ、「台湾島内の情勢がいかに変化しようとも、世界には一つの中国しかなく、台湾が中国の一部だという基本的な事実は変わらない」という習政権の姿勢は不動だ。
ロシアのウクライナ侵攻や炎のように燃え続ける香港の反政府デモを目の当たりにした台湾の人々の間に、中国が台湾をいずれ力ずくで統一するのではという不安が高まるのも無理はない。
そんな中、台湾進攻を危惧する報道が日米で喧しい。米インド太平洋軍のデービッドソン司令官に至っては上院軍事委員会の公聴会で2028年までに中国が台湾に進攻する可能性があると証言している。
しかし私は中国の台湾進攻の可能性は低いと思う。理由は3つだ。①武力攻撃は台湾の反中内乱を生み共産党一党支配を揺るがしかねない。②中国の軍事力では米国に勝てない。③中国政府は半導体受託生産の世界最大手TSMTに代表される台湾の半導体産業を温存したいと思っている。
習政権はこれからも硬軟織り交ぜた脅しと懐柔策で台湾への圧力を強めていくだろう。だが、不測の事態の発生や台湾が独立宣言しない限り、台湾をあくまで内政問題として平和統一を目指すだろう。
中国軍の台湾周辺での活発な軍事演習は、台湾に政府高官などを訪問させる米国を牽制するとともに国内強硬派を押さえるデモンストレーションの意味合いが強い。習主席は平和統一して2035年までに福建省と台北を高速道路と高速鉄道で結ぶ壮大な計画さえ描いている。
そもそも1971年に「一つの中国」を積極的に認め「中華民国」台湾と国交を断絶したのはアメリカではないか。
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