次はどう動くのか、習主席
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注目を集めた9月13日のロシアのプーチン大統領と北朝鮮の最高指導者金正恩のロシア東部ボストーチヌイ宇宙基地での会談は、ウクライナ戦争後の新たな世界秩序を予感させるものだった。
会談の歓迎食事会ではカムチャッカ産のカニを使ったペリメニ(水餃子)などロシア産の食材を使った「極東の珍味」で金総書記をもてなしたプーチンは、乾杯の際に「ひとりの旧友は2人の新しい友に勝る」というロシアの諺まで紹介して金労働党総書記を歓待したとロシア国営タス通信は伝えた。
一方、金正恩は「ロシアが今、覇権主義勢力に対抗し、主権と安全を守るため正義の偉業を繰り広げている。我々は大統領がとる全ての措置について、全面的に無条件の支持を表明してきた」と述べ、ロシアのウクライナ侵攻を諸手を挙げて支持した。
じつは金正恩はプーチンの招待を2015年、18年と少なくとも2回ドタキャンしている。19年4月に極東ウラジオストクでようやく首脳会談が実現したときには、遅刻常習犯として知られるプーチンを20分も待たせた。「99%のロシア人より理性的」と言われるプーチンも怒り心頭だったことは想像に難くない。
そんなふたりが今回はお互いをベタ褒めだ。別れ際は自国製のモデルライフルまで交換したのだ。もちろんそれには理由があった。
ひとつは相手が欲しがっているものを互いに持っていることだ。長期化するウクライナ戦争でロシアが必要とする砲弾や武器を北朝鮮は提供できる。一方、北朝鮮はロシアの食料や高度な軍事技術が喉から手が出るほど欲しい。
北朝鮮から軍需品を買うことは武器取引を禁止する国連決議に違反する。だがプーチンはそんなことはお構いなしだろう。ロシア大統領府のペスコフ報道官は「我々は隣国として、公表や発表の対象にならないセンシティブな分野で協力を実行している」と意味深な発言をしている。
二つ目は、両国とってアメリカという共通の大敵がいることだ。ウクライナ戦争が泥沼化するロシアも核開発にまい進する北朝鮮も国際的な制裁下にあって、孤立感を深めている。「反米」で連帯するのは自然の成り行きだろう。
しかし私が注目したのはそんな田舎芝居ではない。その裏で着々と存在感を強めている中国だ。国際社会で孤立を深めるロシアも北朝鮮も明らかに中国への依存を強めている。アメリカ一極から中国を中心とした多極化された新世界秩序を目論む習近平主席にとってはまさに好都合だ。
紀元前221年に統一されてから20世紀初頭まで、中国は世界秩序の中心だという考え方が支配層に深く植え付けられてきた。共産主義の影響も受けてはいるが習近平体制になってからは伝統的な中国の考え方を奉じる傾向が強まっていると元米国務長官で地政学の重鎮ヘンリー・キッシンジャーは分析している。
習近平が描く新世界秩序は、米国を中心とする西側勢力に勝る中露+グローバルサウス(新興国・発展途上国)多極連合の構築だ。この中にはインド、中東、アフリカ、北朝鮮などが含まれる。
日本が40年以上にわたって破格の途上国援助を差し伸べてきた中国は今や日本を抜いて世界第2位の経済大国に成長し、巨大なグローバル政治・経済ネットワークを構築している。
中国主導の「上海協力機構」の参加国はインド、イランを含む9か国に拡大し、世界人口の約4割、面積の約6割を占めている。2000年以降に著しい経済発展を遂げた5か国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)を束ねるBRICSの主導権も中国が握っており、アフリカでも存在感を増している。
「発展途上国77+チャイナ」という枠組みの国際協力機構も持ち、南米やASEAN諸国を含む開発途上国のリーダーを自負している。
さらに、中東で今年3月、驚きの展開があった。中国が仲介して長年対立していたイランとサウジアラビアの外交関係正常化を中国が仲介して実現させたのだ。両国と中国は原油の輸入で関係を深めており、米ドル支配に対抗する人民元勢力圏の拡大も狙っての動きだろう。中東諸国はアメリカよりも中露に接近する「ルックイースト」戦略にシフトしている。
アメリカは「民主化」を名目に武力やスパイ工作などを使って世界各地で政権を転覆させ、アメリカの言いなりになる親米政権をつくって戦争ビジネスにまい進してきた。それに対して習近平の武器は積極的なインフラ整備や経済協力だ。貧困に喘ぐ多くの途上国がなびくのも無理はない。
習近平の戦略の核心は「兵不血刃(ひょうふけつじん)」、つまり「戦わずして勝つ」だ。
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