忘れ去られるもう一つの戦災
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世界の関心がウクライナ戦争に集まる中、日本と馴染みが深いアジアの仏教大国で悲惨な「忘れられた戦争」が続いている。
ミャンマー内戦だ。
国連の調査によれば、2021年に国軍がクーデターを強行してから2年半余りの間に、同国で少なくとも800人の子供を含む3000人以上の民間人が軍によって殺害され、およそ130万人が家を追われたという。
「これは忘れられた戦争であり、人道に対する組織的犯罪です」
調査を担当した国連特別報告者トーマス・アンドリュースは記者会見でそう発言して軍事政権に対する怒りを露にした。
しかし、最高司令官ミン・アウン・フライン率いる国軍は容赦なく村を焼き、無差別に住民を蹂躙し、敵対勢力の食料、資金、情報、兵士の4つを絶つ非人道的な「四断戦術」を駆使している。2017年から18年にかけてロヒンギャ(同国のイスラム教徒少数民族)に対して行なわれた掃討作戦と同じ手法だ。
とくに農村部では武装した反軍勢力と国軍側の戦闘が泥沼化して双方で死者が出ているという。
ミャンマーは1962年から2011年に民政移管するまでの半世紀近く軍事政権の恐怖政治に支配されてきた。しかし2015年の総選挙で建国の父アウン・サンの長女で非暴力民主活動家アウン・サン・スーチー女史率いる与党・国民民主連盟(NLD)が圧勝。初の文民政権が誕生した。欧米の制裁も緩和され、少数民族迫害問題はあるものの、経済も回復基調で国際的に評価が高まった。「アジア最後の経済フロンティア」と呼ばれ外国企業がこぞって進出した。
ところが自らの独裁政権崩壊を恐れたフライン国軍最高司令官は2021年2月に軍事クーデターを決行。欧米を始め国際的な人権団体などからの批判にも拘わらず今も独裁色を強めている。
その強気の背景には中国とロシアへの接近がある。ミャンマーは習近平国家主席が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」にとって地政学的要衝だ。一方、共に国際的孤立が深まるロシアとミャンマーは経済・軍事分野での関係緊密化を急速に進めている。
では日本はどうか。欧米諸国が国軍に厳しい制裁を科す中、人権意識が低くビジネスを優先する我が国は虐殺の実態から目を背け軍事政権とも民主化勢力とも付き合うという日和見主義だ。国内メディアの関心も低い。ミャンマー国民の間ではそんな煮え切らない日本の姿勢に失望感が高まっている。
ノーベル平和賞受賞者で元国家最高顧問だったスーチー女史は国軍統制下の裁判で汚職や国家機密漏洩などの罪で禁錮33年の有罪判決を受け、首都ネピドー市内の独房に収監されたままだ。
「戦う孔雀」と呼ばれて国民から敬愛されてきた彼女も今や78歳と高齢。体調の悪化が伝えられている。心身ともに消耗しきっているのだろう。 国軍は総選挙を8月実施すると公言しているが、なりふり構わずスーチー女史の国民民主同盟(NLD)排除に繋がる厳しい法律を制定し国軍政党勝利を目論む。ミャンマー民主化への希望の光が消えようとしている。
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