スウェーデンはコロナに打ち勝つのか?
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自由で開放的だった70年代に山本リンダが歌って大ヒットした曲に「もうどうにも止まらない」というのがあった。激しいリズムに合わせてセクシーに腰をくねらせる姿が世の男たちを惑わせた。だが、今どうにも止まらないのは新型コロナウイルスの世界的大流行である。
とりわけ感染者数・死者数で不名誉な世界一を突っ走っている米国の状況は悲惨だ。ひょっとしたら科学を信じないぼんくら頭のトランプ大統領は密かに集団免疫を狙っているのではないかとさえ思ってしまう。
集団免疫とは半数以上の国民がウイルスに感染して免疫を獲得することで感染拡大を封じ込め、医療崩壊や国民生活・経済への悪影響を最小限にとどめる戦略だ。ある程度の犠牲者が出ることは覚悟のうえで早期の終息を目指す。他人の命など気に留めないトランプならやりそうだ。
今のところ世界で唯一この施策をとっているのは北欧のスウェーデンだ。日本を含む多くの国が厳しい移動規制や外出制限を行なう中、スウェーデン政府はロックダウン(都市封鎖)や商店・飲食店などの規制は行なわず、混雑を避けて外出を控えるよう国民に呼びかける緩やかな対策をとっている。
50人以上の集会は禁止されているが、街のカフェやレストランは普段通りの賑わい。マスク姿はまばらだ。買い物も自由にできる。休業要請もない。高校と大学はオンライン授業となったが、小学校や幼稚園の子供たちは普通に通っている。共働き夫婦が多い医療従事者などの「エッセンシャル・ワーカー(必要不可欠な労働者)」が働き続けられるための配慮だ。コロナ以前からリモートワークの割合が38%のデジタル先進国だから在宅勤務に違和感がない。全てが順調にみえた。
ところが4月末に死亡率がアメリカや中国の2倍超になったことが明らかになると評価は一変、内外の専門家から「人殺し政策だ」「完全な失敗だ」「倫理的に問題がある」などの批判の声が上がった。当初スウェーデン方式を目指した英国のジョンソン首相も自らの感染と死亡数の急増で早々にロックダウンに切り替えてしまった。
やはり大失敗か。そう思っていたら7月17日現在の同国の人口10万人当たりのコロナによる死者数が1ヶ月ほど前の49.6人から1.8人へと減少した(欧州予防管理センター調べ)。近隣諸国(ノルウェー、デンマーク共に0.1)と比べればまだ多いが、目覚ましい好転だ。しかも医療崩壊は未然に防がれ、国民生活や経済への影響も限定的。独自路線の効果が出てきたようだ。
じつはスウェーデンで深刻なクラスター(集団感染)が多発したのは介護老人ホームだった。コロナによる死者の9割近くは70歳以上。もともと同国では80歳以上の高齢者や60歳以上の重篤な臓器不全がある患者は集中治療室に入れない。高齢者の意志に反した延命治療よりも、財政資金は若い世代の教育にまわすという国民的合意が存在するからだ。その証拠に政府のコロナ対策を最も高く評価しているのは70歳以上の世代である。「我々は自国の状況に基づいて最善と判断される対策を行なっている」そう言ってハレングレン保健社会相は自信をのぞかせた。
目下の問題は、感染者比率が極めて高いのに免疫獲得率がわずか1割以下と目標の60%程度に遠く及ばないことだ。「驚くほど遅い。なぜそうなのか説明は難しい」 政府のコロナ対策を指揮してきた疫学学者アンデシュ・テグネル医師は現地のラジオ局とのインタビューでそう認めている。
だが、それだけでスウェーデンの試みが失敗だと判断するのは時期尚早だろう。過去に世界的に流行したスペイン風邪やSARS、MERSなどのウイルス感染はいずれも人間が集団免疫を持ったことによって終息した。ロックダウンは一時的に流行を抑止できるが感染の再拡大を阻止できず、経済的ダメージも大きい。ワクチンが開発されないうちは、軽度の感染者増やすことがじつは第2波への最善策なのである。
米国の問題は集団感染をよしとする社会通念もみんなで協力して苦難を乗り越えるという国民的コンセンサスもないことだ。あるのはトランプに代表される私利私欲と反知性主義だけである。だから感染はさらに拡大し死者は増える。それではリンダ「こまっちゃうナ」。
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